追分ようかん

追分羊羹の由来

広重の昔を偲ぶ東海道五十三次の
道中名物として三百年の伝統香る追分羊羹は徳川三代将軍家光公の頃府川の主箱根の山中に旅に病める明の僧と出会い心暖かく介抱。


やがて病癒えたかの僧は感謝の涙とともに小豆の羹づくりの手法をねんごろに伝授して去ったと申します。

爾棲代々相伝え今日に至っております
昔より参勤交代の諸大名をはじめ上り下りの旅人に喜ばれて参りましたが特に静岡に隠棲されました
徳川十五代将軍慶喜公の格別なご贔屓をいただき同公はしばしば賞味されたとのことでございます

追分羊羹について

詩人 長田恒雄(旧清水市)

追分羊羹というのは私の郷里清水の名物である。
「名物にうまいものなし」というがこれは例外であろう。


素朴な竹皮包みの蒸し羊羹で関西の丁稚羊羹に似ているが、味も香りも比較にならないようである。
追分羊羹のうまみは、あらゆる上等の銘菓を食べ飽きたひとの舌にこそほんとうに味わえるものではあるまいか。
レッテルや容器でごまかされるような人にはすゝめたくないものだ。見たところは貧弱だし、およそ近代の食料品という感じはしないし、その味も人を馬鹿にしたような淡々としたものである。
だが、その中に含まれている深い風味は道端で埃にまみれた石地蔵の、ふと驚くべき彫りの美しさに出会したときのようなうれしさである。
「してやられた」ようなうまさと言ってもいい。
こんなものが余りに人にも知られず三百年の歴史をひそめてしずかにいきているところに、私は何か日本のいのちのようなものを感じさえする。
上品に切って食べるのもよかろうが、私は一本ぐるみ皮をむいて、むしゃむしゃ食べるのが好きである。
いかにもこの羊羹にふさわしいような気がするのだ。
なにもかもぴかぴかしてきらびやかな近代のなかにあって、この羊羹のような古めかしい野育ちのものに出会うとせつない郷愁にも似た、それでいてそこはかとない安堵のおもいに浸れるのは何故であろうか。

受賞

全国観光品連盟推奨

総理大臣賞受賞総理大臣賞昭和五十二年二月
全国菓子大博覧会に於て受賞
厚生大臣賞受賞昭和四十八年三月
全国推奨観光土産品審査会に於て最高位
観光庁長官賞平成二十五年
第二十六回全国菓子大博覧会に於て受賞
静岡市保健所所長賞(優良施設)平成二十三年
静岡県知事賞(優良施設)昭和五十八年
静岡県食品衛生協会会長賞昭和五十年